Google講演「AdMob で実現する無料アプリの収益化」レポート
先日のマイコミスマートフォンアワード2011で、
グーグル株式会社のキム・チョンサ氏の「AdMob で実現する無料アプリの収益化」という講演を聞いてきました。
どちらかというとアプリ開発者向けの内容でしたが、
Twitterで「内容を知りたい人いますか~?」と投げかけてみたところ、
知りたいという声が結構あったので、記事にしてみました。
実際に成功しているアプリの事例や、ユーザーに対しての考え方など、収益化以外の部分でも参考になることが多かったので、
これからアプリを開発したい方・既にアプリを開発中の方も、この事例を頭の隅っこにでも入れておくと良いかもしれませんね。
日本のスマートフォン/アプリ環境
現在、日本では1億2千万台近くの携帯電話が利用されていて、そのうち約二千万台がスマートフォンとなっている。
また、2014年には日本の携帯電話の過半数がスマートフォンになるという予測している。
スマートフォン用のアプリマーケットも急拡大し、
App Store(iPhone向けアプリマーケット)では42.5万本、Android Marketでは25万本のアプリが提供されている。
ただし、無料アプリのダウンロード数は増加しているものの、有料アプリのダウンロード数は減少傾向でとなっている。
そのため、無料ユーザー層からの収益化(フリーミアムモデル)の構築を進めていかないと、
今後、アプリを収益源とするビジネスモデルは厳しい環境になると予想される。
ゴミをゴミ箱に投げ入れる無料アプリ「Paper Toss」を提供しているBackflip Studios社は月額50万ドルの広告収入を得ている。
これを1ドル(85円換算)の有料アプリに直すと、毎月新規で66万ダウンロードをさせていかないといけない。
無料(広告)モデルの場合、毎月のダウンロード数に収益は比例せず、
どちらかというとアクティブユーザー数に比例するため、ファンを増やしていくことが重要になってくる。
成功するためのポイント
1.コンテンツ内容をとことん考え抜くこと
適当に開発を始めてしまうと、余計にリソースが必要になったり、コスト高になったりする場合がある。
最初にマーケティング方法、ブランディングの方針、マネタイズの手法を十分に練っておくことが必要。
2.ユーザー目線でターゲット定義
アプリマーケットで(recommend等で)新たにアプリを発見してダウンロードする割合・・・43%
タイトル、アイコン、説明文を練りテストを重ねる。満足できるダウンロード数値になるまで試行錯誤を重ねる。
それでもダウンロード数が伸びない場合は、そもそもユーザーの嗜好とマッチしていないことが考えられる。
3.ソーシャル、バズのマネジメント
知り合いの紹介でアプリをダウンロードする割合・・・37%
FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアとの連携も重要。
ただ単に口コミを巻き起こすのではなく、ユーザーの要望をこまめにフォローする必要がある。
Angry BirdsのTwitterはユーザーのコメントに逐一返信しており、ユーザーの満足度を上げている。
4.一つのアプリに頼らない。
別のアプリマーケットに展開。
スピンオフ作品の作成。
別のアプリを作成。
これらを利用し、収益のポートフォリオを組成する。
自分の売れているアプリに広告やリンクを掲載し、クロスプロモーションを仕掛ける。
ヒットアプリのトラフィックを利用し、新規アプリのダウンロードを促す。
アクティブユーザーを増やすための工夫
1.コンテンツ
例えばニュース配信系のアプリなら配信頻度を増やす、内容を特化するなど、
何度も利用してもらえるような仕組みにする。
2.報酬・エンゲージメント
このサイトに来たら役に立つ、ワクワク感を提供してもらえる。
例) foursquare 一つの場所にたくさんチェックインするとメイヤー(市長)の称号が貰えるなど。
3.アップデート
大きな変更をする必要はない。細やかに、頻度を増やす。
例) paper toss 背景を変える、距離を変える、風向きを変えるなど。ユーザーの求めているものを提供する。
ビジネスモデルの構築
アプリ内課金
有料アプリ
広告
この組み合わせとバランスが重要。
例) ROVIO (Angry Birdsの会社)
iPhone版 Angry Birds
0.99ドルの有料アプリ×1200万ダウンロード=手数料抜き残額6億円
Android版 Angry Birds
無料(広告) 2010年10月の収入 1ヶ月で8000万円
iPhoneにも体験版として無料アプリ(広告入り)を提供開始。
アイテム課金(ワープ)→購入することで難しい面をパスできる。
成功する広告配置/運用のポイント
1.広告をはっきり表示
2.ユーザーの導線を意識して配置する
ユーザーの使い勝手を下げない。クリックしやすい位置にだますように配置しても、
使い勝手が悪くなる→ユーザーが不満→アクセス減少→結果的に収益減少となる。
3.広告位置を常にテスト
例)乗換案内サービス 広告の導入はユーザーの心情を第一に考えている。
1.経路検索中は広告を表示しない
2.オーバーレイ表示にしない→検索結果が見えなくなる恐れ
3.検索結果が表示されたのちに広告が表示される順序→少しでも検索結果を先に表示させる
Admobとは
1.Android、iPhone、iPad、BlackBerryなど様々なプラットフォームに対応
2.200ヶ国を超える地域に対応しているため、海外でダウンロードされても各地域にターゲティングされた広告を配信
3.ハイエンド端末に特化した、リッチで先進的な広告フォーマットを利用可能
4.カテゴリやテキストでフィルタリングを行い、広告をコントロール可能(ライバル会社の広告を掲載させないなど)
5.自社広告機能で自社の別アプリへの誘導等の設定が容易
6.AdMobの広告がない場合にはGoogle Adsenseが表示されるため、フィルレートを常に100%に保つことが可能
また、Googleが運営する「The Guide to the App Galaxy」というサイトでも同様に成功事例が掲載されていますので、
こちらも合わせて読んでみるとさらに理解が深まる・・・というか、今まで書いた事が図解でわかりやすく解説されています(ぉぃ
おまけ
なお、2011年8月27日に開催される、日本Androidの会 横浜支部定例会でも
キム氏の講演が予定されているので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。
横浜支部定例会の参加申し込みはこちら→http://atnd.org/events/19119
ちなみに同日の夜、埼玉支部の1周年記念パーティもありますので、埼玉県民の方は併せてどうぞ。
埼玉支部1周年記念飲み会の参加申し込みはこちら→http://atnd.org/events/18587